チラシのはなし #013


Wii/はじめての人に。
2012/任天堂

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10月後半、任天堂の公式サイト(*)にて、
(国内の)『Wii』生産終了がアナウンスされました。
http://www.nintendo.co.jp/wii/console/index.html
2006年の12月発売なので、およそ7年間。

開発時のコードネームは、
「レボリューション(Revolution)」。
「リモコン」で、操作する。
「チャンネル」は、それぞれのソフト。
という、ゲーム機云々以前のおなじみの記号を
言葉もいらないほどシンプルに表現し、あえて
”ゲーム機らしくない”ことで幅広い層に支持され、
逆にコア層には大きな賛否を巻き起こした、
まさに”革命”を起こしたゲーム機でしたね。

さて、いつものようにそんな『Wii』の
チラシに焦点を当ててみたいと思います。
たとえば、これまでには見られなかった
白色/水色/灰色の3色を基本に統一されたデザイン。
たとえば、ゲーム機本体ではなく「Wiiリモコン」を
前面に展開した広告。
もちろん、これまでの”ゲームらしいゲーム”は
「嵐」など芸能人を起用。
そうした使い分けを展開できたのは『DS』の
大ヒットが下地にあったからこそでしょう。
Wii以前に「タッチジェネレーション」のような、
”ゲームらしくないゲーム”が幅広い層にヒットして
いなければ、いくら有名芸能人を広告に起用しても、
それは一時的なものでそうしたWiiの展開はそれほど
受け入れられなかったと思います。

で、『DS』とほぼ同時に展開していた”らしくない”
チラシが画像の「はじめての人に。」シリーズです。
『DS』篇も含めて、正直、一般のゲームファンにも
まったく物足りない地味なシリーズです。
文字通りの「はじめての人向け」で、いきなり

 ご自宅のテレビにつないで、
 ソフトをセットして遊ぶゲーム機です。

と、大きく書いてあります。続いて同じ調子で

 ひとりでも、みんなと一緒でも、遊べます。

こんな風にゲームファンならズッコケてしまうほど
丁寧に噛み砕いてWii(ゲーム機)を解説しています。
そしてフリガナがないので明らかにこれまでゲームに
触れたことのない、またファミコン以来というような
大人に向けたものということが分かります。

先にシリーズと書きました。
きちんと調べればまだあるかも知れませんが、
2008年(?)頃から2012年頃まで一年に2回程度、
ほぼ同内容のものを改訂しつつ配布され続けました。
単発であれば、そうした大人向けのチラシも多少は
あったでしょうが、ここまでの長期間に渡る
キャンペーンではなかったと思います。
後に『ドラクエ』や『ポケモン』でも
「はじめての〜」というチラシが配布されました。
それだけゲーム世代の層が幅広くなったのですね。

テレビゲーム=子どものオモチャ。
テレビゲーム=さまざまな悪影響。
といった、かつての常識はだいぶ変わり、
世の中にテレビゲームを受け入れる土壌が育ちつつ
ある中で、はじめてキチンと分かり易く、かつ丁寧に
テレビゲームを紹介した「はじめての〜」シリーズは
そういう意味で、多少大げさですが、
”革命的”なチラシだったのかも知れません。

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*『チラシのはなし』は個人コレクションと怪しい記憶
をもとにしているので、間違いがいくらか含まれている
可能性があります。