チラシのはなし #012


ゲームボーイミクロ
2005/任天堂

                                                                                                                    • -

今回はいつもとは違い、
チラシではなく雑誌広告の、はなしです。
画像は蚊取り線香でおなじみ金鳥の120周年の
お祝いを兼ねた広告で、当時、さまざまな
メーカーのフェイスプレートを集めた広告が
あったように記憶していますが、
この広告もその流れのひとつです。

今回、なぜこの広告を取り上げたかというと、
この広告が雑誌『広告批評』に掲載されたもの、
だからです。
広告批評』という雑誌は、広告に少しでも
興味のある人ならだれでも知っているくらいに
老舗(1979年創刊)の有名な雑誌で、広告の
形態が変化したということで30周年を機に
2009年に休刊したものの、毎号独特の切り口で
(なにせ金鳥の広告特集とかするほどですから)
「広告を広告」していた、面白い雑誌なのです。
そして名前通りの硬派な批評雑誌でもありました。

その『広告批評』を立ち上げた中心人物のひとりが
先頃亡くなられた、天野祐吉さんです。
(二代目編集長の島森路子さんも今年亡くなられました)
天野さんが『ドラクエ』好きだったこともあって、
80年代に糸井重里さんとの対談を載せた号があった
ようで、いつかはそれ以降の「ゲームと広告」の
特集を、と思いながら、それも叶わなくなりました。

天野さんは雑誌だけでなくテレビやラジオやネットなど
広告の如く、いろいろなメディアに顔を出していた方
なので、人によって入り口はさまざまでしょうが、
ボクの入り口は『広告批評』でした。
いや、文春文庫の『嘘八百』だったかも知れないし、
なにかの番組やコラム記事だったかも知れない。

ともかく、
ゲームのチラシをただ集めたり、
テレビCMをただ楽しく見ていたり、と
ぼんやりと好きだった広告が、
もっと好きになったのは、
もっと広い見方をするようになったのは、
間違いなく、天野さんが入り口でした。

さようなら、ありがとう
天野祐吉さん

                                                                                                                    • -

*『チラシのはなし』は個人コレクションと怪しい記憶
をもとにしているので、間違いがいくらか含まれている
可能性があります。